同一労働同一賃金については、まだまだ対策しなくても時間があります。
同一労働同一賃金は2020年4月1日から施行され、同時に大企業には適用されますが、まだ2019年が始まったばかりの現在では、ゆっくり対策を練っても間に合うはずです。
中小企業に至っては2021年の4月1日からの適用となりますので、さらに時間はあるといえるでしょう。
ここでは、同一労働同一賃金にこれから取り組む人向けに、同一労働同一賃金の基本的なことからお伝えしていきます。
同一労働同一賃金とは?
同一労働同一賃金の対策をしなければならない、ということは、テレビや新聞などを見てなんとなく理解しているという人は多いでしょう。
ですが、「同一労働同一賃金とはなにか?」と聞かれたとき、曖昧な知識では即答できないということもあるはずです。
まずは同一労働同一賃金とはなにかについて学んでいきましょう。
では「同一労働同一賃金がなにか」と聞かれれば、答えは「労働環境をより良くするために掲げられた、目標やスローガン」です。
現在、日本国内では格差が広がっているといわれています。
そして格差が広がる理由の一つとしては、正規社員と非正規社員の待遇差が挙げられます。
非正規社員の割合は労働者全体の4割に近く、今後も増加する傾向があるといわれているのです。
非正規社員が増えているにも関わらず、その待遇が悪いとなれば、賃金の面で苦しみが生まれ、個人のQOLにも影響が出ます。
また、個人が買い控えてしまうこともありますから経済的にも悪い影響は免れません。さらには、結婚を諦める人も増えるので、出生率低下のような深刻な問題に歯止めもかかりません。
そのような問題を解決するためには、正規社員と非正規社員の間にある不合理な格差を解消するのが有効だと考えられます。
そのため、目標やスローガンのもと、法改正を行い、この不合理な格差の是正を行おうとしているのが、同一労働同一賃金なのです。
法改正が関わっていることから、実質的には法律であると考えることもできますが、罰則規定が現状では設定されていません。
そのため、同一労働同一賃金は現状では、単なる目標やスローガンである、といえるのです。
罰則がなくてもリスクはあるのが同一労働同一賃金
同一労働同一賃金は、現状では罰則規定がないと説明しています。
そのため、「じゃあ対策しなくても良いか」と考える人ももしかしたらいるかもしれませんが、それは早計です。
罰則がないとはいえ、同一労働同一賃金にはリスクが潜んでいます。
まずは罰則規定の後付リスクです。
罰則規定が現状ないからといっても、今後ないとは限りません。
2020年や2021年、施行された後に罰則が追加されるおそれは十分にあるので、後々になって対策を始め、間に合わなくなってしまったというようなことは避けるべきでしょう。
つぎに、損害賠償請求リスクです。
罰則規定がなくても、施行された後には明確に法違反であることを根拠に、損害賠償請求を非正規社員からされるおそれがあります。
なにも対策していない状態では、「なぜ不合理な待遇差に当たらないのか?」ということを説明できません。
同一労働同一賃金に明確に違反する『不合理な待遇差』であると判断されれば、裁判では負けてしまうでしょう。
そうして裁判の結果が知られれば、ずさんな企業、信頼できない企業、ブラック企業というようなレッテルを貼られてしまうはずです。
同一労働同一賃金対策はお早めに
同一労働同一賃金について基本的なことをご紹介して参りましたが、いかがだったでしょうか。
同一労働同一賃金は、現状では罰則もないため、ただの目標やスローガンといったものです。
ですが、法律が絡んでくる以上、どうしても避けられないのが損害賠償請求のリスクです。
このことを頭に入れておけば、「なにも対策しなくていいや」とは思えず、早急な対策が必要だということだけでもわかったはずです。
なにから手を付けてよいかわからないと感じた人は、専門家への依頼をしてみましょう。
アウトソーシングサービスとして同一労働同一賃金のような対策を手掛けている会社があります。
そういった会社に依頼すれば、自分たちの企業にある解決すべき問題点を洗い出し、適切な対策の仕方について学べるはずです。